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寝食を共にする勢いでスタートアップを支援

東洋経済オンライン 1月7日(火)6時0分配信

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寝食を共にする勢いでスタートアップを支援
ドコモ・イノベーションビレッジの第2期生6社のトップ

NTTドコモグループが手掛けるスタートアップ支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」。六本木のオフィスを拠点に、参加チームがサービス完成を目指して活動するこの支援プログラムの特徴は、共同ワーキングスペースやクラウド環境の提供など、多方面から支援を受けられる点にある。米500スタートアップスなど、国内外の著名ベンチャーキャピタルと連携している点も大きな特徴だ。
イノベーションビレッジを運営するのはドコモが100%出資するNTTドコモベンチャーズだ。同社はドコモのベンチャー支援ファンド100億円に加え、NTT持ち株会社の投資ファンド150億円も運用している。今月、持株会社はさらに100億円のファンドを追加で設定する方針。グループの次世代ビジネスを発掘し、育成する役割を期待されてのことだ。
スタートアップ支援プログラムを指揮するドコモ・ベンチャーズの秋元信行副社長は2000年に米国・シリコンバレーの研究所立ち上げにかかわり、その後もシリコンバレーでドコモキャピタル社CEOとしてモバイル関連のベンチャー企業に対する戦略的投資を担当してきた人物。イノベーションビレッジは第1期(2013年4~9月)で6社の支援を行い、11月からは2期目が始動。やはり6チームが選ばれた。1期目の成果と2期目に向けた戦略を、秋元副社長に聞いた。
■ 学ぶことが多かった

【詳細画像または表】

 ――第1期プログラムを振り返って、どのように総括しますか。

 ドコモ・ベンチャーズとしても学ぶことが多かった。社内外の協力を得てプログラムを進めていく中で、日本のスタートアップがどのような点に悩んでいるのかを知ることができた。私個人としても、これまでは米国のスタートアップと付き合った経験しかなかったので、日本のスタートアップの多岐にわたる関心事や課題を知ることができたのは、大きな収穫だったと思います。

 米国での仕事は、コーポレートベンチャーキャピタル。これは、ドコモとの協業をアレンジし、ドコモとつなぐことが中心です。それに対し、今回のインキュベーションプログラムの場合は、参加チームが抱える日々の課題まで含めてサポートしていくので、関わりの深さが違う。経営やビジネス上の課題について話し合うミーティングが毎週1回あり、まさにチームのメンバーとして関わっていくイメージだった。一緒に走って行く中で気づいたことも多かった。

――9月に行われた第1期のサービス発表イベント「Demo Day」ではカップル向けアプリ「Pairy(ペアリー)」を提供するTIMERS inc.(タイマーズ)が優勝しました。

 タイマーズのメンバーは非常によくやってくれました。栄えある第1期プログラムの卒業生なので、「もし成功しなかったらただじゃおかないぞ」なんてプレッシャーをかけているところです(笑)。

 個人的に、完全にオープンなSNSには違和感を持っており、クローズドなコミュニケーションを実現できるサービスはないか、と探していた。実は、第1期プログラムの選考より前に、ペアリーを見つけて、私自身が使っていたんですよ。そうしたら選考会に彼らがやってきたので「使っているよ」と。

 彼らが目指しているのは、カップルだけでなく、結婚後の夫婦まで使えるようにするなど、特定の人とのつながりを深められるサービス。こうしたニーズは着実にある。多くの方に刺さるサービスになっていくのではないかと期待しています。

 ――卒業チームとの交流は続いていますか。

 卒業チームとは定期的にコミュニケーションをとっています。カフェスペースでは、週1~2回ほど、社内外の方を招いてイベントを開催していることもあり、出席している卒業チームには毎回必ず声をかけている。

 実は、今もタイマーズのチームがワーキングスペースに陣取っているんです。プログラム期間中よりも、張り付いている時間は長いんじゃないかな(笑)。何年もいられては困るけど、卒業チームが気軽に訪ねてくれる環境は維持していきたい。それが、継続的な支援のきっかけにもなる。

■ 第2期にはNTTグループ他社も参加

 ――第2期は「パートナーブースト枠」を設けるなど、選考方法を変更しました。

 もともと、ドコモだけのプログラムではなく、オープンにして色々な企業に集まってもらいたいという思いがあった。まずはグループ企業から、NTTデータNTTぷらら、NTT西日本の各社に参加してもらい、各社の担当者もサポートに加わる「パートナーブースト枠」というものを新設した。今回は「えがおの株式会社」チームに対し、NTT西日本が協力することになった。次回以降は、NTTグループ外の企業と積極的に手を組んでいきたい。

 とにかく、色々な企業に集まってほしいと思っています。スタートアップはドコモだけでなく、さまざまな会社の知見や経験が反映されることで、飛躍的に伸びていく可能性がある。成長した結果、ドコモのビジネスにプラス影響をもたらすというのが理想的な形。以前から、参加チームだけでなく、国内外のスタートアップやベンチャーキャピタル関係者がつねに出入りするような雑多な空間にしたいと思っていたが、最近になってようやくそれらしい環境になってきた。

――参加チームなど、第1期チームとの違いはありますか。

 1期はアプリ系の会社が多かったが、今回はハード関連のサービスを目指すチームがあり、幅は広がっています。また、1期ではある程度の経験を積んだチームが中心でしたが、今回、たとえば「Wonder Bee」は会社設立すらしていない状態。よりインキュベーションプログラムらしいチーム構成になったと思う。

 また、前回の1次審査は書類のみで、2次審査はプレゼン形式でした。今回は1次審査から9割の会社にスタッフが面接した。起業をするにあたって最も重要なのは「人」。できるだけ直接会って、人と向き合って審査しないとダメだと。その結果、今回も個性的なチームがそろった。最初から「グローバル展開を狙う」といったチームもあり、かなり期待できそうです。

■ 寝食を共にする勢いで支援したい

 ――ドコモのイノベーションファンドの出資の方向性は? 

 ドコモは通信以外の新領域として、金融・決済、ヘルスケア、M2M(機器間無線システム)、ネット通販などの育成を掲げています。まずはこうした分野に貢献できるサービスを探していく。最近、ファンドとして力を入れている分野も、ヘルスケア、教育、ビックデータ、クラウドなどの領域になっている。

 NTT持ち株のファンド運用も重要。昨年4月にはNTTグループ全体の研究開発拠点「NTTアイキューブ」が北米でスタートした。NTTデータやディメンションデータ、NTTアメリカといった、海外でビジネスを展開するグループ企業に対し、新しいテクノロジーやソリューションを提供する役目がある。その中で、スタートアップとの取り組みもあり、出資の話も浮かんできている。ですので、われわれもアイキューブと頻繁にコミュニケーションをとり、彼らのビジネスを支援していく。現在も複数の案件を進めている最中です。

 ――今後、どのようなサポートを目指していきますか? 

 前回にも増して、参加チームと寝食を共にする勢いでやっていきたい。実際、ワーキングスペースでも、常駐というか、ほぼ宿代わりにしているチームも多いんですよ(笑)。

 また、参加チームに対し、何をどのように工夫すればユーザーを増やすことができるのか。通信会社の視点だけでなく、具体的なアドバイスをするために、毎週のミーティングには社外のメンターの方々にも参加してもらっている。

 今後の課題は知名度です。ドコモがこうしたプログラムを組んでいることを知らない方も多い。ただ、知名度を上げるためには、しっかりとしたサポートが受けられるんだ、と参加チームに実感してもらうことが重要。だから、近道はない。起業に対して迷っている方の背中を押してあげられるプログラムにしたい。そんな強い思いを持っています。

 イノベーションビレッジはスタートアップを「ゆりかごからイグジットまで」サポートしていく。すべてのチームが成功するわけではないけれども、何度でもチャレンジして成功をつかむようなカルチャーを育てたい。やはり、少しでも日本のスタートアップ自体を底上げできれば、と思う。裾野が広がれば、自然に有望な会社も多くなるはずです。

 *イノベーションビレッジ第2期に参加する6社のトップインタビューを順次、公開していきます。

田邉 佳介

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